【宇宙開発】欧州の新しい宇宙戦略

　2020年10月26日、欧州委員会において新しい包括的な宇宙戦略が初めて可決されました。この戦略は、欧州における将来の活動方針と野心的なヴィジョンを打ち出していて、欧州地域と諸産業にとって重要なものになります。

　国内市場、産業、起業家および中小企業のための欧州委員である、ビエンコフスカヤ氏は、EUがこのような包括的な宇宙戦略を策定したのは初めてであり、この戦略は各々の強みと戦略に基づいていると述べています。

　さらに、この戦略は欧州にいる私たち全員にとって「宇宙は重要である」という単純でかつ強いメッセージを伝えています。

　欧州委員会が策定した新たな宇宙戦略は、ヨーロッパの人々が宇宙から提供される利益を完全に享受し、宇宙産業における新興企業が成長するための適切なシステムを作成することを提案してます。

　これにより、宇宙分野における欧州のリーダーシップを促進する力を有すること、また、新たな戦略は欧州が世界の宇宙市場におけるシェアを高めることを可能にすることを目指すと述べています。

　この戦略は、今後競争力のある革新的な欧州の宇宙セクターを育成し、宇宙におけるグローバルな役割を強化しつつ、欧州の戦略的自治を維持する効果を期待してると思われます。

　欧州員会による新たな宇宙戦略策定を受け、新たな宇宙戦略が持つ意味とその影響に関する議論が欧州航空産業界代表者間で行われました。

　議論の結果、新たな宇宙戦略は「正しいヴィジョンを有し、野心的である」ことから、ビジネスイノベーションを生み出す機会につながると多くの代表者から評価されました。

　また、新たな宇宙戦略は、現在抱えているいくつかの未解決問題を解決させ、企業や産業にとって重要な「枠組み」となることが期待されており、産業界から非常に好意的に受け止められています。

　各国の宇宙戦略は、安全保障や経済などと密接な関係性を有しており、国家と地域において極めて重要な戦略です。

　近年、民間企業の台頭が著しい宇宙産業ですが、公共的な枠組みや政策が及ぼす影響は未だに大きいのが現状です。

(credit:NASA)

　次期アメリカ大統領ジョー・バイデン氏は、ドナルド・トランプ政権下で2025年に終了するとされた国際宇宙ステーションに対する資金拠出を延長すると考えを持っているとロイター通信が報じるなど、従来の宇宙戦略が近年大きな変化を見せています。

　Covid-19が及ぼす経済への影響がどれほどの期間続くかなど、多くの不確定要素が多いことから、今後も各国の宇宙戦略の変化に注目したいと思ます。

（文・荒井　碧）

BLOG ブログ