【天体情報】紫金山・アトラス彗星を見よう!
現在、明方の東の空に「彗星」が見えているのをご存じですか?『紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3 Tsuchinshan-ATLAS)』と名前のつけられた彗星が9月下旬から10月上旬は明方の東の空に、10月中旬以降は夕方の西の空に見えるようになります。
この彗星が今話題になっているのは、近年地球に接近した彗星としては、かなり明るく見えるのでは?と期待されているからです。
どこに見えるの?
2024年10月2日5時5分の東の空(Sterallium)
9月下旬から10月上旬は、明方の東の空に見えています。ただし「紫金山・アトラス彗星」は太陽の近くにいるため、日の出前のとても低い位置に見えているので、東の空が開けている場所で見る必要があります。
10月2日5時5分頃だと、「紫金山・アトラス彗星」は東の空、地面から約5度の高さに見えています。これだけ低いと地上に障害物があると見ることが難しいので、東が開けている場所から観察してみてください。
2024年10月9日6時30分の東の空(Sterallium)
10月9日になると「紫金山・アトラス彗星」は太陽のすぐそばに近づくため、明方でも夕方でも観察するのは難しくなります。これ以降は夕方の西の空に見えるようになってきます。
2024年10月12日18時6分の西の空(Sterallium)
10月12日の夕方18時6分位に、地面から約5度の高さに見えるようになります。「春の大曲線」を近くに見えているので、探しやすと思います。
また、この日は近くに「金星」も見えています。この時「金星」は約-3.9等星という明るさで、うしかい座の1等星「アークトゥルス」は約0等星という明るさで見えています。これらの星の明るさと比べることで、どのくらいの明るさで「紫金山・アトラス彗星」が見えているのかを知ることができると思います。
今はどの辺りにいるの?
Credit:NASA JPL / Small-Body Database Lookup
10月1日の時点で「紫金山・アトラス彗星」は、太陽から0.4au、地球から0.77auの距離にいます。auとは「天文単位」と呼ばれる長さの単位で、地球と太陽までの平均距離を「1au」として太陽系内の天体までの距離などを表す時に使用します。
つまり、10月1日時点で「紫金山・アトラス彗星」は、太陽から、地球と太陽までの距離の約0.4倍の距離にいることになります。地球からだと、太陽までの距離の約0.7倍の所に「紫金山・アトラス彗星」がいることになり、太陽よりも近い所に「紫金山・アトラス彗星」がいることがわかります。
今回「紫金山・アトラス彗星」が明るくなるのでは?と言われている理由の一つが、彗星が太陽に最も近づいた時に、地球に対しても近い場所にあるという点があります。
そもそも「彗星」とはどんな天体?
彗星とは太陽系小天体のうち、「氷」や「小さな岩石」のようなものが固まって出来た天体で、太陽に近づいた際にチリやガスによる「尾(テイル)」が見えるようになる天体です。「ほうき星」や「コメット」とも呼ばれます。
目で見て分かるほどの彗星は極めて少なく、一般的なニュースに取り上げられるような彗星になると、更に数は少なくなります。上の写真は、1997年3月30日に撮影した「ヘール・ボップ彗星」です。3等星以上の明るさで見えていた期間が5カ月ほどあったため、多くの方が見るチャンスに恵まれた見やすい彗星でした。またこの彗星の前にやってきた「百武彗星」もとても明るく見えた彗星で、0等星位の明るさで、尾の長さは60度くらい伸びていました。1996年、1997年は彗星の当たり年のような年でした。
今回の「紫金山・アトラス彗星」は、日本ではどのくらい見えるようになるのか?是非皆さんの目で確かめてみてください。