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【ふたご座流星群】100倍楽しむ話

【ふたご座流星群】100倍楽しむ話

 毎年この時期に楽しむことのできる「ふたご座流星群」。今年は観察するのにとても条件が良く、天気をのぞけは、好条件で観察することができます。そんな「ふたご座」流星群をもっと楽しめる話をまとめました。

2023年「ふたご座流星群」は条件最高!

今年の「ふたご座流星群」は、とても好条件で観察できると言われていますが、具体的にどんなポイントが「好条件」なのでしょうか。
ここでは、2023年の「ふたご座流星群」が好条件で観察できると言われている理由を3つご紹介します。

好条件1)月明りがない

 今年の「ふたご座流星群」は、12月15日の午前4時、15日(金)の明方が極大となります。
 今年の12月の新月は12月13日で、14日は細い月が夕方西の空に見えています。新月後の細い月は、夕方の空に見えてその後すぐに西の空に沈んでしまいます。そのため、14日の夜から15日の明方まで、夜空には月明りがない状態で私たちは「ふたご座流星群」観察することができます。
 流星(流れ星)は、明るさが暗い物が多いので、夜空を明るく照らす月明りは天敵です。今回はその月明りがないので、思う存分流星群を楽しむことができます。

好条件2)日本からみて極大が夜

 今年の「ふたご座流星群」は、12月15日の午前4時、15日(金)の明方が極大となります。流星群の極大とは、その流星群の流星がもっとも見られる時間を言います。
12月15日の4時は、夜が長くなっている日本ではまだ夜です。思う存分、ふたご座流星群を楽しむ事が出来ます。
 参考までに、2020年の「ふたご座流星群」の極大は、日本時間の10時予報だったので、残念ながら日本でピークの時間帯に「ふたご座流星群」を観察することは難しいという年もあります。

好条件3)日本からみて極大時、ふたご座が高い位置にいる

 今年の「ふたご座流星群」は、12月15日の午前4時、15日(金)の明方が極大となります。
 この時、ふたご座流星群の放射点(輻射点)は、地面から約60度、みなさんのこぶし約6個分の高さの位置に見えています。これだけ放射点が高い位置で極大を迎えると、夜空の真上を中心に四方八方に流星が流れることになり、どちらの方向に流れても、私たちは流星を観察することができます。
 逆に、もし極大の時に、この放射点が地面に近いと、地面の方向に流れた流星はすぐに地面に隠されてしまうので残念ながら見れません。そのため流れた流星の半分は見えなくなってしまいます。
 今年は放射点が夜空の高い位置にありますので、どちらの方向で観察しても「ふたご座流星群」を楽しむことができます。

「ふたご座流星群」の基本的な話

 2023年は「ふたご座流星群」がとても好条件で観察できる理由は、お分かり頂けたと思います。ここでは「そもそも『ふたご座』ってなに?」を解説します。スポーツ観戦なども同じだと思いますが、ルールやしくみ、生い立ちや理由など、知っていることが増えれば増えるほど「見る楽しみ」も増えてくると思います。

「流星群」ってなに?

 流星群(りゅうせいぐん)とは、流星(流れ星)が、天球上(夜空)の「ある1点」を中心に放射状に流れる天文現象をいいます。この時流れる流星のことを「群流星(ぐんりゅうせい)」と呼んでいます。また、「流星群」とはことなり、普段から流れている流星のことを「散在流星(さんざいりゅうせい)」と呼んでいます。
 流星群の中には、毎年同じ時期に、ほぼ同じ数流星が見られる「定常群」と、数年から数十年おきに活発化する「周期群」と、突然活発になる「突発群」があります。今回の「ふたご座流星群」は「定常群」のひとつです。「周期群」として有名なのは「しし座流星群」があります。

「三大流星群」とは?

 日本で使われている言葉で、他の流星群よりも極大時に多くの流星が流れる「流星群」を「三大流星群」と呼んでいます。
 ・「しぶんぎ座流星群」毎年1月4日頃に極大を迎える流星群です。放射点が今の「うしかい座」と「りゅう座」と、北の空にあるので、南半球からはほとんど観察できません。
 ・「ペルセウス座流星群」毎年8月13日頃に極大を迎える流星群です。比較的明るい流星が多く夏休み期間でもあるので、毎年多くの方が観察しています。
 ・「ふたご座流星群」毎年12月15日頃に極大を迎える流星群です。他の流星群よりも毎年見られる数の変化が少ないのが特徴のひとつです。

どうして「流星群」が生れるの?

 流星の元は、宇宙空間にある「チリ」のようなものと考えられています。これを宇宙空間に大量にバラまきながら移動している天体があります。それは「彗星」です。
 彗星は太陽の周りを周る天体のひとつです。そのためいくつかの彗星の軌道は、地球の軌道の近くを通っていたり、地球が彗星の軌道を横切る場合があります。彗星の軌道上には、大量の「チリ」のようなものがバラまかれているので、地球が彗星の軌道を横切った際に多くの流星がほぼ同じ時期に流れるようになります。これが「流星群」です。「流星群」の元になる「チリ」をバラまいている天体を、その流星群の「母天体(ぼてんたい)」と呼んでいます。

「三大流星群」の「母天体」

「三大流星群」のそれぞれの「母天体」は、
 ・「しぶんぎ座流星群」:母天体「ヘールボップ彗星」
 ・「ペルセウス座流星群」:母天体「スイフト・タットル彗星」
 ・「ふたご座流星群」:母天体「ファエトン」
と言われています。流星群の「母天体」が彗星だと初めて言われたのが「ペルセウス座流星群」です。また「しぶんぎ座流星群」の「母天体」は他にも候補があり議論が続いています。

「母天体」は「彗星」ではなく「小惑星」

 ふたご座流星群の母天体は、その軌道から「ファエトン」だと言われています。この天体は、1983年に発見された「小惑星」です。小惑星が「母天体」と言われているのは、「ふたご座流星群」だけです。
 発見した時は普通の「小惑星」でしたが、2009年17等級から10等級に急激に増光し、さらには2013年には「尾」が観測されるという、とても変わった小惑星です。
 現在では、この「ファエトン」は、普通の小惑星ではなく、彗星の成れの果てではないかと言われています。

「ふたご座流星群」をきっかけに、もっと宇宙を楽しんでみませんか?

 残念なことに、2023年12月14日15日ともに、日本は広い範囲で天気に恵まれない予報です。「ふたご座流星群」以外にも、まだまだ楽しい「天文現象」があります。
「ふたご座流星群」をきっかけに、もっと宇宙を楽しんで頂けたら幸いです。

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