【天文】NASAが月面の表面で水を発見!
(クレジット:NASA / Daniel Rutter)
2020年10月27日、NASAは私たちが住んでいる「地球」の衛星「月」で、太陽の光があたる表面にて、「水」の存在を初めて確認しました。これは、水が月面全体に分布している可能性を示していて、大きな発見となります。
月面表面で「水の分子」を検出
NASAの成層圏赤外線天文台「SOFIA(空中天文台)」は、私たちがいつも見ている月の表面(おもてめん)側で、「水の分子」であるH2Oの検出に成功しました。
今回の発見したデータから推測される水の量は、NASAの例えで言うと「サハラ砂漠には、SOFIAが検出した月の水の約100倍の水がある」ということなので、量としては、とても少ない量だと言えます。
(クレジット:NASA)
発見は新しい「謎」を生み出す
今回の「水の発見」は、新たな「謎」を私たちに提供してくれました。
それは従来は、厚い大気もない月面では、太陽の熱にさらされた水は、あっという間に蒸発して、宇宙に行って失われてしまうと考えられているからです。ですが、私たちはSOFIAによって、月面表面にある「水」を観測することが出来ています。
これは何かがそこに「水」を提供して、何かかそこに「水」を留め置いていることを示唆しています。それは何なのか?今は全く分かりません。
水を作り出した候補者たち
NASAの発表では、「水」を作り出した過程についての、可能性についても併せて発表しています。
それは、少量の「水」を含んだ微小隕石が月面に衝突した際に、月面表面に「水」を堆積させているのでは?という可能性です。
もう一つの可能性は、太陽からの「太陽風」が水素を月面に送り、月面の土壌中の酸素含有物と化学反応を起こしてヒドロキシルを作り、その後「水」を生成する可能性があるのでは?という可能性です。
(クレジット:NASA)
空中天文台「SOFIA」
「SOFIA」は、NASAとドイツ航空宇宙センターとの共同プロジェクトとして運用されている、空飛ぶ天文台です。
最大高度45,000フィートを飛行して、直径106インチの天体望遠鏡を備えた空飛ぶ天文台は、地上の天文台よりも鮮明に赤外線による観測結果を私たちに提供してくれます。
元の飛行機は最近見る機会が減った「ボーイング747SP」通称「ジャンボジェット機」と呼ばれていた飛行機です。
(クレジット:NASA)
テストから生まれた「発見」
今回の空中天文台「SOFIA」による「発見」は、予定された観測から得られたものではありませんでした。
通常の観測の際に「SOFIA」にとっても、「月の存在」は他の天体観測の際には「邪魔な存在」でした。そこで「月」を正確に追尾することで、その影響を排除できないかテストした際に、今回の観測結果を得ることが出来ました。
今後も飛び続けて欲しい「空中天文台」
(クレジット:NASA)
NASAが運用している空中天文台は「SOFIA」だけです。初代空中天文台「カイパー天文台」も、今回観測結果をもたらした「SOFIA」も、地上天文台に比べてとてもコストのかかる天文台で、近年予算削減で「格納庫で余生を過ごす」可能性がありました。
今回の観測結果により、「SOFIA」による継続観測が決定したそうです。その観測結果は、今後の「月面探査車」が探査するためのマップにも反映されるそうです。
今後も空の上から、私たちに新しい「宇宙」を届けて欲しいと思います。